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映画「影裏」

2020.02.26 07:10|GO
2018年夏、盛岡での撮影が「影裏」だという情報により
とりあえず図書館で本を借りて読みました。
特に盛り上がりもないけれど、
友人が学歴詐称をしていたというのだかけが印象に残り、
主人公がマイノリティーだとは気づきませんでした。

映画公開を前にして、本を買って、もう1回読みなおしました。
今度気になったのは、友人が大学には通わなかったけれど
受験に合格したのは事実だったということ。
彼は子供の頃から決まって一人の人物とだけしか付き合わず、
突然別の人間と付き合うようになる。
どれも長続きせず、次々と相手が変わるということ。

映画の視点はずいぶん違うものでした。
合格通知のことはスルーしてました。
それと一人の人物としか付き合わないという日浅の性格は
結構重要ポイントだと思いましたが、触れてませんでした。
日浅が会社を辞めたのは、この一人だけとの付き合いが長く続かないからこそ
自分から姿を消したのだと思うのです。
というか、いつもとは違う付き合いになりそうなのを避けたというべきかもしれません。

彼も今野に対して特別な感情を持っていたのはないでしょうか。
アイシンの契約を今野ではなく、まず西山さんというパートの女性に持ち掛けたこと。
一度は契約を頼もうと訪れたものの言い出せずに帰ったこと。
西山さんには、その後も訪ねて全部で4人分の契約を頼み込んだこと。
そして学歴詐称がばれて実家を出なければならず、
お金を借りに行ったのも西山さん。
今野には自分のカッコ悪い姿を見せたくなかったのだと思います。

剛さんは「自分は日浅側の人間なので気をつけないと」と言っていましたが
交友関係を見るとさもありなんという気がします。

原作で日浅の卒業した大学名は出てきませんでしたが
映画では「中央大学」とはっきり記載されていて驚きました。
エンドロールに中央大学の名がありました。
架空の大学名でもよかったのに、実名になると
妙にリアリティーがありました。

アイシンからのダイレクトメールを見て
慌てて書類の中から未開封のアイシンの袋を探し出し
中を見て、今野が泣いた理由が初見では分かりませんでした。
これ原作にありません。
新しいDMの「更新」という字だけしか目に入らず
古いDMでは特典の写真と日浅典博のサインだけしか見えませんでした。

2回目では日浅のサインのある書類に日付でもあるのかと
目を凝らしても不明。

3回目で新しいDMの「更新」の前に「以前」だか何かの文字が見えたこと。
それで慌てて、前にもらったDMを探し出し、
生きていた日浅の証しを見て泣いたのだとやっと納得しました。

4回目で「更新」の前の文字は「先日」だったことが判明。
この辺は、もう少し長く映像を見せるか、テロップを入れてほしかったと思います。

撮ってる側は、何度も同じシーンを撮影したり、繰り返したり編集したりして
分かったつもりでも、初めて見る側には、わからない事も多いし
誰もが頭が良くて察しが良いわけでもないのですから。
私は、4回目で、やっと全体像がつかめました。

冒頭の職場や、震災の日の海を前にした日浅のシーンに
日付のテロップを入れてくれると、もっとわかりやすくなったと思います。

美術さんの仕事の最大の成果はミズナラ。
自然の倒木が、細かったので手を加えたということですが
形の良い素晴らしい存在感でした。
失敗はポスト。
剛さんの背丈くらいあるので背の低い人は取りにくい。
鈴村さんは、その下の段だから、まだよいですが
誰が越して来るかはわからないので、もう少し低いほうが良かったと思いました。

剛さんは、とっかえひっかえ衣装を変えてましたね。
ハーフパンツの紐の結び方が奇麗で感動。
数年前から着物にハマり着付け教室に行く時間がないので
Youtubeを見て練習しています。
着物を着るには仮紐、帯揚げ、帯締めなど
結ぶという作業が多いのですが、これが下手でつもグチャグチャになります。

キャンプで日浅に「ゴムのよう」とけなされた帽子は
原作では「哺乳瓶のよう」ともう少しかわいい感じで、そちらのほうが好き。
ギスギスした雰囲気にいたたまれず、予定を早めて帰ってきた今野が
昼間に届いた副島からのメールを読み返し、
夜遅いのにホテルに会いに行くエピソードは
原作にはないけれど入れて正解だと思いました。

原作では仙台までは来てても、盛岡には来ていません。
ただ、そのメールをきっかけに、盛岡に来て以来、
途絶えていた副島との交流が復活し、
月に数回はメールのやり取りをするようになったと書かれていました。

日浅とのキャンプのコーディネートには気合を入れていったのに
副島に会いに行く時は、ホテルなのにサンダル履きのラフなスタイル。
日浅と副島に対する今の気持ちの表れでしょう。
最も「東京カレンダー」のサンダルは13万円もするのですが。
剛さんが昨年秋の映画の舞台挨拶で、素足にサンダルという時がありました
そんじょそこらのサンダルとは違ったのですね。

今野が日浅に魅かれていくのは剛さんの演技で十分伝ってきているのですから
この副島とのエピソードがあれば
今野が日浅の唇を求めにいくような原作にないシーンを入れなくても
彼がセクシャルマイノリティーだと伝わります。
最後の新しいパートナーのエピソードも原作にはないし
不要に感じました。

マイノリティーの話に寄るよりも、男の友情と
震災で行方不明になった彼を探していくというだけで
余韻として、今野と日浅の関係が残ったと思います。
説明不足な部分と説明過多な部分がある内容でした。

とはいえ、心揺さぶる三部作「楽園」「閉鎖病棟」「影裏」の中で
一番剛さんの出番も多く、あの美しい肢体に見惚れました。

監督は、どちらが今野でも日浅でもと語っていましたが
剛さんの日浅も見てみたかったです。









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